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§北海道における被覆肥料を利用した露地野菜栽培
北海道立中央農業試験場 環境化学部
研究職員 奥村 正敏
§ケイ素の生物学-4-
京都大学名誉教授
高橋 英一
§ごぼう栽培における被覆肥料の利用
青森県十和田市農業協同組合
農産担当 斗澤 康広
北海道立中央農業試験場 環境化学部
研究職員 奥村 正敏
北海道では現在,環境に配慮し施肥量を減らしつつ,作物の高品質化をねらう「クリーン農業」技術の確立が求められている。また担い手不足,高齢化に対応した省力化技術も望まれており,「環境にやさしく,かつ省力的な肥料」ともいわれる被覆肥料の利用は,これらの技術に対して寄与できる一つの方策として期待されている。
しかし,被覆肥料の道内での利用にあたっては,適用作物とその作物の生育に合致した溶出パターンを持つ肥料タイプの選定,気象条件との関連,適用しうる土壌条件やそれに対応した栽培法の確立など,各種作物に対する施用意義や施用法などに関して多くの問題が残されていた。
本稿では北海道における被覆肥料の窒素溶出特性と露地野菜に対する基本的な肥効特性を検討した結果を述べる。
樹脂型被覆肥料の窒素溶出特性については,それぞれの肥料について標準的な溶出ノマターンと溶出日数が示されている。しかし,冷涼な北海道では肥料からの養分溶出が本州とは異なることが考えられ,地域間差,土壌間差など現地条件での測定例がないために作物の種類,作期に対応した利用法が適切でない場合も多いと推察される。
図1には,6月中旬より道央(北海道中央部)の試験地において被覆燐硝安加里肥料(ロング)40および70日夕イプの埋設実験を行った結果を示した。窒素溶出の特徴として,両タイプの肥料とも直線に近い放物線で経時的に窒素が溶出し,40日夕イプでは埋設初期の溶出率にはやや差があるものの,肥料中に含有する窒素の80%が溶出する日数(以下,80%窒素溶出日数と略記)は70日程度,70日夕イプでは同90日程度であり,ともに年次間差は小さかった。

また表1では,道央から道南地域の主な野菜地帯にある試験地で,春から夏までの利用を対象として40日夕イプの80%窒素溶出日数を調べた。40日夕イプの80%窒素溶出日数を埋設開始の時期別にみてみると,5月~6月中旬までの露地では70日程度で,試験場所間の差はほとんど認められなかった。一方,7月中~下旬の露地では,47日~32日と80%窒素溶出日数が短縮された。夏の露地では施用初期の平均地温が21~25℃と高いことから,窒素溶出には地温が大きく影響するといえる。

一方,70日夕イプでは6月中旬からの利用で約90日を要した。供試した被覆肥料からの窒素溶出は基本的に温度依存性であり,施用期間の窒素溶出率はその期間の地温または気温の積算値から推定可能である。また,埋設実験を行った試験地以外の帯広,旭川,北見など道東,道北の野菜地帯でも,5~6月の利用では道央,道南と同等の80%窒素溶出日数が適用できる。
このように北海道における40,70日夕イプの80%窒素溶出回数は,肥料に表示されている標準溶出回数よりも20~30日プラスする必要があることがわかり,また降水量および土壌の種類(理化学性の違い)には実用上ほとんど影響されないことも確認された。
多肥栽培を行う野菜作においては,全量基肥施用により分追肥を省略し,かつ施肥位置の改善等で窒素の利用効率を高めることにより,増収と品質向上を図ることが必要である。40または70日タイプの被覆燐硝安加里肥料(ロング)を用いて全量基肥施用する施肥法と,従来の速効性肥料を用い,作物によっては分施を行う施肥法の肥効を,作物の種類,作型,土壌条件ならびに施肥位置の観点から比較検討した。
この結果,①スイートコーンでは40日タイプ,②ねぎでは70日夕イプをそれぞれ作条に基肥施用した場合の増収効果が認められ,分施省略,減肥が可能であったのに対し,③40日タイプを用いたキャベツでは,土壌および作期によって施用効果が異なり,④たまねぎ,にんじんなど全面全層施用で分施を行わない作物に対しては40または70日夕イプを用いた場合,速効性窒素と施用効果は同等であった。
以下にはスイートコーン,ねぎ,キャベツの3作物について被覆肥料の施用効果を概説する。
被覆肥料を作条で全量基肥施用することにより,①分施の省略,②増収,③減肥の可能性をねらった(表2)。北海道におけるスイートコーンの標準窒素施肥量は10aあたり15kgで,速効性窒素を用いて基肥に9kg,7月上旬に硫安等で6kgの追肥を行うこととなっている。しかし試験圃場は火山性土でこの土壌タイプでは後期重点型の窒素施肥法が望ましいとされており,基肥窒素7kg,分施窒素8kgを標肥区とした。

この結果,70日タイプの全量基肥施用では標肥区に比べ雌穂重の粗収量を増加させるものの,Lサイズの雌穂重規格割合が標肥区よりやや低かった。一方,40日夕イプでは雌穂重,規格割合とも増収効果が大きかった。このようにスイートコーンに対しては70日夕イプよりも40日夕イプの施用が適していた。
スイートコーンの生育期間は約110日であるが,70日夕イプでは,窒素の効きが遅く,窒素溶出パターンと雌穂の生育のタイミングがずれ,Lサイズ規格がやや減少してしまうのである。40日夕イプでは生育初期20日目で40%程度(6kg)の窒素溶出が認められ,初期生育の遅れはなかった。
このように試験年全般に被覆肥料の分施省略の効果が認められ,被覆肥料を利用した3割減肥も可能であった。しかし,6~7月に乾燥が続いた年次(1997年)では被覆肥料の肥効が低下した。
全量基肥施用で分施の省略,増収,減肥の可能性の検討を行うとともに,露地ねぎの施肥法は基肥が作条,全層の両方が採用されていることから,施肥位置の検討も行った(表3)。

北海道におけるねぎの標準窒素施肥量は分施を含めた合計20kgで,速効性窒素を用いて基肥8kgを作条に,分施6kgを株際に2回,培土時に行うこととなっている。一般の農家圃場では,基肥時には20kg程度が全面全層施用されることが多く,合計窒素施肥量は26kg~30kgとかなり多いのが実態である。基肥の作条施用は一般に施肥効率を高めるが(表3),被覆肥料の利用によって,さらに濃度障害を回避し,減肥,追肥を省略するのがねらいである。なお,作条基肥時には濃度障害を回避するため,とくに低地土では速効性部分として8kg以上の窒素を根に与えないことが重要である。
ねぎの本圃での生育期間は110~120日で窒素吸収量は約40日目以降ほぼ直線的に増加することから,40日夕イプでは短く,70日夕イプの利用が妥当と考えられる。そこで70日夕イプを用いて全量基肥作条施用を行い,前述の標準窒素施肥量で分施2回を行う標肥区と施用効果を比較した。
この結果,泥炭土壌では,分施省略,増収効果が高く認められた。また,被覆肥料を利用した3割減肥はLLサイズをおさえ,値段の高いL,Mサイズの調整収量を増加させる利点もあった。これに対し,低地土では生育初期に適度の降水量がある場合には増収するが,乾燥年では分施を行う標肥区と同程度であった。また3割減肥は低地土では可能とはいえなかった。
キャベツについては生育期間の短いことを考慮して全量被覆区を設けず,40日夕イプを供試し速効性窒素を40%混合した全量基肥施用と,分施を1回行う標肥区との比較を行った。標準窒素施肥量は分施を含めて20kgである。通常,キャベツに対する基肥は全層で施用されているが,本試験では作条施肥も加えて検討した。
なお,実施した4試験地は,気象条件は同一で,土壌の母材(火山性土)も同一であるが,場所により土壌の保水性を異にしており,B,C試験地はA,D試験地に比べ保水性が大きい。しかし40日夕イプ肥料の埋設試験の結果,これらの試験地間では80%窒素溶出日数に差がなかった。
定植時期を6月上旬(晩春定植),8月中旬(夏定植)の2作型とし(表4),基肥の施肥位置を全層施肥と作条施肥の2型とした。晩春定植では,基肥が全層施肥の場合,4試験地とも標肥区とほぼ同等の総結球重が得られたが,作条施肥の場合には,B,C試験地で増収効果が認められたのに対して,A,D試験地では標肥区よりも減収した。B,C試験地では土壌無機態窒素量を考慮して減肥を行ったにも関わらず増収した。また夏定植については,被覆肥料の基肥全層施肥は標肥区に比べ減収したが,作条施肥は高い増収効果を示した。

以上の3作物,および前述したたまねぎ,ニンジンに対する結果を通覧すると,供試した被覆肥料の施用効果は,本試験条件では分施体系をとり,本圃での生育期間が70日程度以上で,作条に肥料を施用できる作物に対して高いといえた。
さらに溶出日数の長さから判断して,施用時からの80%窒素溶出日数が生育期間の8割程度であることが肥料タイプ選択の一応の目安となり,北海道の通常の露地野菜栽培では70日程度までのタイプの利用で十分と考えられる。また,供試した被覆肥料の窒素溶出および肥効の特性として,年次,気象,土壌の種類によって溶出日数には差がない場合であっても,肥効の発現はそれらの条件で大きく異なる場合があることを認識しておく必要がある。
すなわち,春~初夏の利用で降水量の少ない年次には全般に被覆肥料の肥効が小さく,泥炭土および保水性の大きい火山性土壌での効果は期待できるが,低地土や保水性の小さい火山性土など乾燥しやすい土壌では溶出した窒素の拡散が遅れるため,肥効が十分に発揮できないことがある。この影響は全層施肥よりも作条施肥でより大きい。しかし夏以降の利用は,施用時の地温が高く,降水量は北海道では比較的十分にあるので,夏定植のキャベツのように増収効果が期待できる。
被覆肥料を利用する際に最も考慮しなければならないことは適用作物とその作型に対応した溶出タイプの選定である。土壌条件に対応した速効性窒素との適正ブレンド割合をさらに検討する必要があるとともに,作物の生育特性により合致した溶出タイプ肥料および施肥法の開発が望まれる。
京都大学名誉教授
高橋 英一
動物は体を保護あるいは支持する役目をもった堅固な構造,すなわち骨格を備えていますが,これには体の外側を覆う外骨格と,体内にある内骨格の二つがあります。
たとえば,刺胞動物(腔腸動物)のサンゴ虫の分泌する珊瑚,軟体動物の貝類の貝殻,節足動物のエビ,カニ,昆虫類の甲皮,脊椎動物の魚類や爬虫類の鱗などは外骨格に属します。また内骨格としては,脊椎動物の背骨のほか,きょく(棘)皮動物のウニの殻や海綿動物の骨片,原生動物の有孔虫や放散虫の殻なども内骨格に入れられています。
これらの骨格をつくっている主成分は,大きく有機質と無機質に分かれます。有機質にはキチンと硬タンパク質があります。節足動物の甲皮はキチンでできています。硬タンパク質でできているのは,軟骨魚類の骨(コラーゲン),魚鱗(イクチルエピジン),ゆあみ(沐浴)海綿の海綿繊維(スポンジン)などです。
無機質にはシリカ,炭酸カルシウム,リン酸カルシウムの三種類があり,そのいずれを選ぶかは動物の系統によってきまりがあります。なお無機質の骨格は有機質の組織の上につくられるもので,その典型的な例は軟骨組織(コラーゲン,糖タンパクからなる)へのリン酸カルシウムの沈積によって起こる硬骨化(骨化)にみられます。
表2はいくつかの動物の硬組織(被殻,骨)のケイ素とカルシウムの含有率です。これをみるとケイ素含有率が著しく高いものはカルシウム含有率は著しく低い(またはその逆)こと,すなわちケイ素(シリカ)型とカルシウム(炭酸カルシウムあるいはリン酸カルシウム)型の二つがあることが分かります。そしてこれらを動物の系統樹のうえにたどってみると,図5のようになります。


まず原生動物ですが,これは体制のもっとも単純な単細胞動物で,運動は偽足あるいは鞭毛,繊毛で行います。体の保護のためには,体表にある特別の皮膜から角質,石灰質あるいはケイ酸質の物質を分泌して被殻を形成しています。原生動物にはいくつかのグループがありますが,その中で放散虫はもっぱらケイ酸質を分泌し,シリカ型の被殻をつくります(図6)。

これに対して有殻アメーバーや有孔虫には,ケイ酸質を分泌するタイプと,炭酸カルシウムを分泌するタイプの二種類があります(図7,8)。


海綿動物は後生動物の中で分化の程度が最も低く,動物なのに固着性です。そして小数のものを除いて無機質の骨片を持っています。すなわち体の外面の一層の皮層と,内腔(胃腔)に面した一層の胃層の両細胞層の間に寒天様のものがつまっており,その中に骨片母細胞から分泌されたケイ酸質あるいは炭酸カルシウム質の骨片があります。そしてその骨片がばらばらに散在するもの,堅く規則正しく組合わさったもの,有機質の海綿質繊維の網目によって独特の骨格を形成するものなどがあります。
これらの中,炭酸カルシウムの骨片を持つものは石灰質海綿,ケイ酸質の骨片を持つものはそれがガラスに似ているところからガラス海綿と呼ばれています(図9)。また不規則な網目状をしている海綿質だけでできているものは弾力性に富んでおり,浴用に使われるのでゆあみ(沐浴)海綿と呼ばれています。

腔腸動物(刺胞動物)には,体の一端で他のものに固着するポリプ型と水面に浮かぶクラゲ型があります。ポリプ型に属するサンゴ虫は,炭酸カルシウムを分泌して珊瑚をつくるので有名です。これに対して浮遊するクラゲは骨格を持たず,裸のままです。
環形動物は体表はクチクラで覆われ,さらにキチン質の剛毛を持つもの(ゴカイ,ミミズ)と持たないもの(ヒル)とがあります。ミミズなどには石灰腺があり,カルシウムを分泌して炭酸カルシウムの形で排泄することが知られています。
節足動物も体表はキチン-タンパク質からなる硬いクチクラで覆われていますが,甲殻類(エビ,カニ)ではクチクラにカルシウムが沈着して,厚い堅固な甲皮となっています。またフジツボは表皮が分泌した石灰質の殻を持っています。
軟体動物は筋肉の非常に発達した体をしており,貝類では外套膜から分泌された石灰質の貝殻で軟らかい体を保護しています。これに対してイカ,タコの類では甲またはペンとして内在しており,中には欠如しているものもありますが,貝類より著しく速い運動能力で身を守っています。
きょく(棘)皮動物は,ナマコでは体壁中に顕微鏡的な石灰質の骨片が散在するにすぎませんが,ウニ,ヒトデは体表面に石灰質の刺を持ち,体壁中にも石灰質の骨格または骨片があります。
脊椎動物は内骨格がよく発達しています。円口類(メクラウナギなど),軟骨魚類(サメ,エイなど)の骨格は硬タンパク質からなる軟骨質ですが,それ以上ではこれにリン酸カルシウムが沈積して硬骨質になります。
このように何を硬組織の主成分にしているかは動物の系統と関係があり,進化に伴う漸移がみられます。すなわち原生動物,海綿動物ではケイ素型のものとカルシウム型のものの二つがありますが,腔腸動物以上ではケイ素型のものは姿を消し,硬骨魚類以上ではリン酸カルシウム(アパタイト)型になっています。
動物は進化の過程でケイ素よりカルシウムの方を骨格成分に選ぶようになったようですが,それは何故でしょうか。一つにはカルシウムの方が溶解度の調節が容易なことが考えられます。またカルシウムには細胞内外の情報伝達,細胞間接着,筋肉収縮などに重要な役割があり,そのため動物はカルシウムの吸収,代謝,貯蔵などの機構や組織を発達させていったことも関係していると思われます。
硬組織形成における有機質のマトリックス(基礎となる組織)の合成,ケイ質化,石灰化の三つの過程は生物進化と関係がありますが,さらに興味深いのは,同じ動物の一生の間に,この三つの過程が次々に起こる現象が見いだされていることです28)The following is a list of the most common problems with the "C" in the "C" column.
すなわち硬骨海綿とよばれる海綿は,はじめケイ酸質の骨片ができ,ついでそれらは部分的に有機質のマトリックスに包まれ,最後に石灰質の骨格の中に埋まります。これは硬組織形成におけるケイ質化と石灰化が,進化の過程で連関して起っていることを示しています。
原生動物の放散虫やガラス海綿は,溶解している濃度のうすいケイ酸を吸収濃縮してシリカゲルにし,骨格を作っているわけですが,その仕組みはまだよく研究されていません。
ガラス海綿では軸糸とよばれる線状構造のまわりにシリカの層が形成され,その外側を有機質の軸鞘が囲み,そしてこれらが海綿体内に規則正しく配列して骨格となるといわれています。またガラス海綿をケイ酸を含まない培地で育てると,海綿特有の多孔質の立体構造ができず,平らな細胞の集塊となり,さらにばらばらの小さな塊になってしまうことが観察されています28)The following is a list of the most common problems with the "C" in the "C" column.
ケイ酸の体内集積には,細胞間のケイ酸の輸送機構,呼吸エネルギーを使ってケイ酸を取り込む特殊な膜(シリカレンマ)の働きが関係していることが,あとで述べるようにケイ藻で明らかにされていますが,同様な仕組みがこれらの動物にもあるのかもしれません。
25)H. J. M. Bowen:Enviromental Chemistry of the Elements,pp.99-100,Academic Press(1979)
26)ドフランドル著,菅原健,田中元治訳:生物から岩石ができる話,白水社クセジュ文庫(1953)
27)E. C. Bovee:Distribution and Forms of Siliceous Structures Among Protozoa,文献6)のpp.233-279
28)W. D. Hartman:Form and Distribution of Silica in Sponges,文献6)のpp.453-493
青森県十和田市農業協同組合
農産担当 斗澤 康広
十和田市におけるごぼう栽培は,水田の減反政策が始まった昭和45年頃にながいも栽培に導入されたトレンチャーの普及によって面積が拡大された。
当該地域に,ごぼうが普及した要因には
①栽培が容易で機械的栽培が可能であり,集約的な栽培管理の必要がない。
②十和田地域が時々見舞われる「海洋性寒冷気流(やませ)」などによる冷災害に強い。
③収穫期間に制約されないことや輸送性,貯蔵性ともに高く,出荷調整が可能な作物。
④土壌適地である火山灰土の耕土の深い土地が多い。
⑤輪作体系が確立されてきた。
⑥さらに,減反政策が強化され,転作面積が増加した。
などがあげられる。

昭和50年代~60年代の栽培は,品種には柳川理想が使用され,施肥設計は表1のとおりである。

また,追肥の方法は,
・1回目 本葉1~2枚(播種後20日頃)30kg(株元から10~15cm離して)
・2回目 本葉3~4枚(播種後50日頃)30kg (畦の中央に)
に実施した。
このような体系で栽培されてきたが,次の課題がクローズアップされてきた。
①作土層が比較的深いため,肥沃な圃場と新規圃場では収量・品質の差がでるほか,農家個々の栽培技術の格差がある。
②適期追肥のバラツキや追肥が遅れることにより,畦間が混み合い十分な追肥の効果をあげることができない。
③連作による土壌病害などである。
そのため,肥料的に改善できないかという視点で,当JAにある「農業技術センター」において,平成元年~平成4年までに次の試験が行われた。
平成元年度は,慣行区をASU+S646,LP70配合,LP70溝全量,LP100配合,LP100溝全量について試験を行った。なお,a当たり成分量をN38kg,P3.34kg,K1.44kgに設定し,溝全量区以外は施肥量の半量を全面,半量を溝施用し,図1,表2にその成績をしめした。


総収量では,LP70溝全区242.0kg/a>LP100溝全区233.7kg/a>慣行区220.3kg/a>LP70配合210.4kg/a>LP100配合200.6kg/a区の順であった。
上物収量はLP100溝全区194.0kg/a>LP70溝全区193.9kg/a>LP70配合187.8kg/a>慣行区186.3kg/a>LP100配合171.2kg/aの順であった。
このことから,LP肥料を含む緩効性肥料についで溝施用の効果が高い傾向がでたため,引き続き試験を継続することにした。
平成2年度も,慣行区をASU+S646とし,LP70無機,LP70有機,LP70有機ぼかしについて試験を行った。
なお,a当たり成分量を前年同様N1.38kg,P3.34kg,K1.44kgに設定し,試験区は溝施用し,慣行区は施肥量の半量を全面,半量を溝施用し,図2,表3にその成績をしめした。


総収量では,LP70無機274.7kg/a>LP70有機ぼかし248.3kg/a>LP70有機239.0kg/a>慣行区205.4kg/aの順であった。
上物収量では,LP70無機218.8kg/a>LP70有機ぼかし210.5kg/a>LP70有機209.9kg/a>慣行区172.1kg/aの順であった。
ここでも,LP肥料を含む緩効性肥料について溝施用の効果が収量,上物率ともに安定した成績が得られた。
平成3年度は,慣行区をASU+S646とし,LP70配合,ロング70全溝,ロング100全溝とロング肥料も加えての試験を行った。
なお,a当たり成分量を前年同様N1.38kg,P3.34kg,K1.44kgに設定し,試験区は溝施用し,慣行区は施肥量の半量を全面,半量を溝施用し,図3,表4にその成績をしめした。


総収量では,ロング100全溝197.0kg/a>LP70配合187.6kg/a>ロング70全溝186.5kg/a>慣行区170.8kg/aの順であった。
上物収量では,LP70配合115.4kg/a>ロング100全溝115.1kg/a>LP70全溝97.3kg/a>慣行区83.3kg/aの順であった。
ここでも,LP肥料及びロング肥料について,収量,上物率ともに安定した成績が得られた。
平成4年度は,慣行区に過去3年間安定した成績をあげていたLP70とし,CDU+LP70,ロング70,ASU+ロング70の試験区を設定して試験を行った。
なお,a当たり成分量を前年同様N1.38kg,P3.34kg,K1.44kgに設定し,LP70は溝に半量,追肥に半量施用し,試験区は溝施用して図4,表5にその成績をしめした。


総収量では,ASU+ロング70 176.7kg/a>ロング70 151.1kg/a>慣行区125.5kg/a>CDU+LP70 81.8kg/aの順であった。
上物収量でも同様に,ASU+ロング70 136.6kg/a>ロング70 124.2kg/a>慣行区95.4kg/a>CDU+LP70 45.2kg/aの順であった。
ここでも,LP肥料及びロング肥料の効果について収量,上物率ともに安定した成績が得られた。
この4年間,被覆肥料の施用効果の比較や追肥を省力化した資材として試験を継続してきた。これらの成績を踏まえて,平成5年から追肥を省力化した「初期一発処理の施肥体系」として,従来の施肥体系をASU486 60kg+ロング70 50kgに切り替えた。
さらには,その施肥技術として半量を植え溝,残り半量を全面施用。あるいは,全量植え溝施用することにより,高品質,安定多収のごぼう生産が定着した。
この体系をヒントに機械メーカーでは,施肥機を装着したトレンチャーも普及され,一層作業効率が高めたことにより,農家個々の作付面積も年々増加している。
機械化及び施肥体系の省力化によりごぼうの作付面積が増えたが,一方で連作による土壌病害(ネグサレ病,クロアザ病)も増えているため,なお一層の計画的な輪作体系の確立が急務である。
また,収量性の高い肥培管理を行うため,トレンチャー溝の置換性塩基や窒素を中心とした分析を実施し,適切な施肥基準値を求めているところである。